月日が経つのは早いもの。
9月の後半に入り、お彼岸の季節となりました。
あんこを使った「おはぎ(ぼたもち)」は、私が大好きな和菓子のひとつです。
春の彼岸と秋の彼岸で呼び名が違うのは知っていましたが、季節に合わせて名前が分けられていることを初めて知りました。また、地域によっても面白い呼び方があるので、紹介したいと思います。
おはぎやぼたもちの季節ごとの名称
春
牡丹餅(ぼたもち)
牡丹の花が咲く季節である春の彼岸に、神仏や先祖へのお供え物とされた小豆餡の様子を牡丹の花に見立てたことから「牡丹餅」と呼ばれるようになりました。
夏
夜船(よふね)
ぼたもち(おはぎ)は、餅つきをしないで作ります。ペッタンペッタンと音がしないので、いつ搗いたか分かりません。
この「搗き知らず」が「着き知らず」と変化し、夜は暗くて船がいつ着いたのか分からないので「夜船」と呼ばれるようになりました。
秋
御萩(おはぎ)
牡丹餅と同様、萩の花が咲く季節である秋の彼岸に、お供えされる小豆餡の様子を萩に見立てたことから「御萩」と呼ばれるようになりました。
冬
北窓(きたまど)
夜船と同様、「搗き知らず」が「月知らず」と変化し、月が見えないのは北側の窓だということで「北窓」と呼ばれるようになりました。
おはぎを「半殺し」と呼ぶ地域も
群馬県、長野県、徳島県の一部地域において、おはぎは「半殺し」と言われています。
- おはぎは、米粒が半分残るくらいに粗く搗くので「半殺し」
- お餅は、米粒が完全に無くなるまで搗くので「皆殺し」
となります。
名前を聞くとドキッとしますが、理由がわかると納得です。
おはぎの歴史
おはぎやぼたもちの歴史は古く、平安時代には登場しています。
「小豆の赤い色は災難が降りかからないようにする効果がある」と考えられていて、邪気・穢れ・祟りを払うためのに食べられていました。
江戸時代になると、お彼岸や四十九日の忌明けに食べる風習が定着し、先祖の供養として結びついたのだと言われています。
明治以降には、砂糖が庶民の手に届くようになり、現在のような甘いおはぎが作られるようになりました。
最後に
日本人の言葉遊びって、ウィットに富んで面白いですよね。
なんだか私もおはぎを食べたくなってしまいました。